1年中、ラプアンカンクリのUSVAと寝たい

初めての、リネン100%体験

初めてリネンの使い心地の良さを実感したのは、USVAではなく、
旅先で土産として購入した大きめのハンカチだった。
当時はラプアンカンクリのUSVAといえば大きなブランケットのイメージで、
「いつか」と憧れるばかりの高値の花。
だからなおさら、いつもより少し思いきった買い物ができる状況下で、ふと手にしたそれがリネン100%なことは、手が出せずにいた憧れを気軽に体験してみるという付加価値のついた嬉しい偶然だった。
羽を広げるツバメが一羽刺繍された、ミナ ペルホネンのリネンハンカチは、愛用の小さな鞄に収めるには大きかったけれど、それまで使っていた小さなタオル地のものよりずっと使い勝手がいい。
「リネンはすぐ吸ってすぐ乾くから、湿ったままの不快感がない」とはよく聞くけど、これが具体的にどんな場面で役立つことなのかは、暮らしの中であれこれ使ってみてようやくその機会の多さに気づいた。
なかでも良い意味で盲点だったのは、すぐに乾くとはつまり、生乾き臭と無縁ということ。
ハンカチはもちろん夏にはスカーフとしてもいいし、自宅でタオルや布巾、汗ばむ時期には枕カバーなど、
吸水と速乾を両立させたいあらゆる場面で活躍する汎用性の高さ。
そしてその静かで淡々とした仕事ぶりは洗濯後まで抜かりがなく、手間をかけなくても嫌なシワが残らない姿に、
何度でも心を射止められる。
薄く軽く柔らかでいてハリもあり、丈夫。
使用中の実用性はさることながら、その管理にも所有することにさえも手間がかからない。
暮らしを縁の下から支え心持ちを軽くしてくれる物、そんな道具の選び方を強く実感したこの体験が、
USVAへの憧れをますます強くしていく。
「大きなリネンを寝具にしたら、夏の寝心地はさぞ快適なんじゃないか」
かくして、二の足を踏み続けた憧れは「初めてのUSVAどれにしよう」の段階へと、大きく歩を進めた。

決め手は scope
「憧れのファブリック」から「生活の道具」へ

色は心に決めている。
何年か前、USVAを初めて知ったときに一目惚れした、イエロー。
黄色なんて私物にないのに、不思議とその一択しか頭になかった。
主な議題はサイズ、そしてこの期に及んでそのお値段。
夏のシーツとしての用途、しかもその使用時間のうちほとんどにおいて、使用者本人は夢の中へ沈んでいて意識がない。
ハンカチでの感動体験をもってその価値を理解していてもなお、自分にとって新しい価値観でのお金の使いかたという別問題の葛藤があり、しばらくは、USVAあるいはそれに類するもの、つまり「リネン100%で汎用性がある大きくて軽い布、デザインも好みで、所有や管理が楽」を条件に、あらゆる体験や情報をネットで漁る日々が続いた。
そうして行き着いたのが、scopeのウェブサイト。
USVAに惹かれている以上、条件に合う類似品では納得できないことを悟り、丁寧でお洒落な使い方ばかりが紹介される数々のサイトに見飽きていたところ一気に引き込まれたのは、scopeでのUSVAに対する「遠慮のなさ」だった。
読んでいるのは確かにUSVAを紹介する記事なのに、主役がUSVAではない。
そこにあるのは商品説明ではなくて、執筆者とUSVAとの暮らしだった。
様々な場面がいくつもの写真とともに紹介されていて、どの写真でもUSVAが背景とすっかり馴染んでいる様子、写る人物がUSVAの扱いに手慣れている様子に、ずっと前から身近に置いて実際に使い込まれている「暮らしの道具、暮らしの相棒」ぶりが見てとれる。
今さら気取らないし特別扱いもしないけれど決して雑に扱うわけではなく、敬意や配慮や愛着は損なわないまま過度な遠慮はしない、まるで気心知れた仲との付き合い方を思わせる淡々とした暮らしの場面一つ一つが、どのサイトよりも自然で現実的で、素敵だった。
複数人から募集した様々な使用例をまとめただけでは、きっとあんなふうにちょうどいい現実感は漂わない。
あるいは、数あるサイトやSNSのように、本人がUSVAをほんの数回しか使ってなさそうな、撮影用サンプルのように遠慮がちで、撮影のためだけの使用イメージを紹介されても、私の中で「憧れのファブリック」から脱却し購入を決意させることは難しかったと思う。
「そうそう、知りたかったのはUSVAがある暮らしの素敵な一コマじゃなくて、USVAとの暮らしの現実。
そう、これこれ!ありがとうscope!」
自分の誕生日が近いこと、もう何年も前から憧れていたことを言い訳に、そのままscopeで、USVAマルチユースタオルのイエローを注文した。

夏どころか冬のシーツもUSVA、そしてもう一枚

マットレスとほぼ同じサイズのマルチユースタオル、寝てる間にズレてくるかなと思ったら杞憂で、それどころか、マットレスの下に折り込まずただ置いているだけだから、毎朝剥ぎ取るのも毎夜敷くのもさっと終わる。
朝夜の1日2回寝床を一式整える身としては、この手軽さはかなりありがたい。
もしもベッド派で日中マットレス剥き出しなのが視覚的に気になるのであれば、下まで折り込める大きなサイズのほうがすっきりして綺麗だろうけど、個人的には、大らかでいさせてくれるUSVAを敢えてきっちり整える行為に、少し気疲れしてしまう。
せっかくUSVAが暮らしの小さなモヤモヤを解消して軽やかでいさせてくれているのだから、私自身も見習ってそこそこ大雑把でいたい。
夏用シーツとして使い始めたけれど、結局夏も冬も1年中ずっとシーツとして活躍している。
接触冷感と謳われる寝具とUSVA、就寝中どちらが涼しいかは分からないけれど、どちらが快適かと強いて比べるのなら迷わずUSVAと答える。
冬は冬で、身を包む上も下も化学繊維だと寝ている間に蒸れるような不快感があるけど、かといって寝具自体が冷たいのも寝付けないという悩みを一手に解決してくれた。
というか、洗濯も含め管理が楽すぎて衣替えもせずにUSVAを使っていたら、冬の寝心地にも何の問題もないことに気づいたのが本当のところ。
ヒヤッとするほど冷たいわけでもほわっとするほど暖かいわけでもない。
ガーゼのように繊細ではないけれど、だからこそ遠慮なく使え、それでいて十分に柔らかい。
寝汗で生地が湿ったり、暖かすぎて蒸れたりといった不快感を抱えたこともない。
朝起きたら、マットレスの上に置いてあるだけのUSVAを端から適当に手繰り寄せ、カゴにぽいっと入れおいても悪目立ちせず、軽いから洗う時も易々と洗濯機に放り込み、軽々と高い場所の物干しにも広げられ、冬でも「乾かなくて困る」なんてこともない。
年中使えるから、管理する物も場所も手間も少なくて済む。
ただただ、あらゆる観点でちょうどよく気兼ねなくいられる、そんな稀有な存在、知ってしまったらもう他を探そうなんて気は、私の中には起こらない。
1年中USVAの上で寝転がり、あわよくばもう一枚のUSVAに包まれて寝たい。
あるいは、
夏のラグ代わりにすれば手軽に洗えて気持ちいいだろうか、
季節の変わり目に部屋で羽織にしたらちょうどいいかもしれない、
冬の一番内側の掛け布団にしたら気楽に洗えるから清潔そうだな、
などと、用途を決めないままで購入したとしても、汎用性の高さまでもが買い物の後にも先にも肯定的で、失敗も後悔も心配せずに鷹様でいさせてくれる。
慎重な性分にとって、この大らかな頼もしさは本当にありがたい。

最後に一つ。
USVAの新品時に味わえる醍醐味について。
あまり共感されないかもしれないけど、自分の備忘録のためにも残しておきたい。
ブランドタグがついた紐を解き、「きっと、もうこんな風に丁寧に畳むことはないだろう」などと惜しむように広げ、そっと顔を埋めた時の、あの懐かしい香りのこと。
USVAを使うのは間違いなく初めてで、フィンランドに行ったことはない。
なのに「懐かしくて落ち着く」と思うのはなぜか。
しばらくそのまま寝転がって目を瞑り、サラサラの感触と香りを堪能しているうちに合点がいった。
「ああそうか、畳の、いぐさの香りに似ているんだ」と。
そんな風に言ったら、お洒落な憧れのファブリック感がなくなってしまうかもしれないけど、それよりも文化や歴史や叡智や技術に感嘆する、印象的な瞬間だった。
ほんのり冷たくて通気がいい、畳が布になったような不思議な懐かしさ。
あの香りが好きで、scopeで追加購入したもう一枚のUSVAを、まだおろせずにいる。

【期間限定価格】ラプアン カンクリ / USVA スコープ特別版 マルチユースタオル [LAPUAN KANKURIT]

【期間限定価格】ラプアン カンクリ / USVA スコープ特別版 サマーブランケット [LAPUAN KANKURIT]

PAGE TOP
error: Content is protected
CONTENTS